2014-06-08

登彌神社

この日はカーナビの調子がいまいちでてんてこ舞だつた。最短ルートを案內されたのだらうが、道があまりにも狹すぎて大變だつた。そんな中、「ああ、仕舞つた。まただ。この道、ほんたう?」と橋を渡り狹くなる道に辟易としてゐたら、目の前に「饒速日命」と言ふ文字が飛び込んできたので無理やり車を停めて參拜したのが、當社である。僕が車から見た案內板には「通称木嶋明神といい、延喜式内小社で物部氏の祖神饒速日命を祭神とし、神域幽玄神殿も極めて壮大であり太古大部族の祖神を祭るにふさわしいたたずまいである。又、付近丘陵(大和郡山市主水山)は弥生時代遺物の散布地でもある」と書いてあつた。
饒速日命の話は後ほどとして、先づは境內の樣子から。一の鳥居を潛ると參道は緩やかな石段となつてをり、中ほどに二の鳥居がある。石燈籠があり「木嶋大明神」と書かれてゐる。木嶋?さう言へば木嶋坐天照御魂神社は木嶋に鎭坐する天照御魂神を祀る社と言ふ意味だ。繫がりがあるのだらうか?木嶋社は一說に據ると天火明命をお祀りするとの傳承があり、天火明命は先代舊事本紀に據ると「天照國照彥天火明櫛玉饒速日尊」であり、饒速日命と同一視されてゐる。あれ、饒速日命の話は後にしようと言つたばかりだつた。境內の話に戾さう。
本殿は拜殿脇から玉垣が施され近くまで行く事ができなくなつてゐた。他のサイトでは栅がない寫眞が揭載されてゐるので、最近になつて玉垣が施されたのかもしれない。從つて本殿ははつきりと見えなかつたが、妻入りの本殿が二つ竝んでゐるやうに見えた。
さて饒速日命とは、現在の生駒市及びその周邊を支配してゐたと見られる那賀須泥毘古(長髓彥)が奉じる神として古事記・日本書紀に登場する。日本書紀の一書が傳へるところでは邇邇藝命の兄上で天照大神より十種の神寳を授かり天磐船に乘り河內國交野に降り立つたとのこと。交野には磐船神社と言ふ天磐船傳承を傳へる神社がある。交野に降り立つた後に大和に遷り長髓彥の妹の三炊屋媛(登美夜須毘賣)を娶り、宇摩志麻遲命をもうけた。宇摩志麻遲命は物部氏の祖となつてゐる。
神武天皇が東遷された際に、饒速日命配下の長髓彥が神武天皇に抵抗し孔舍衞坂で神武天皇軍を打ち破つた。この時に神武天皇の兄上である五瀨命が落命されたので、神武天皇が日に向かつて敵を擊つのはよくないとして迂廻して大和に入ることにしたと歷史は傳へる。
長髓彥は交野~生駒~奈良市の一部~櫻井邊りまでを收めてゐた豪族であり、後に大和朝廷となる勢力に滅ぼされたと思はれる。さて、その長髓彥が奉じる饒速日命だが、天孫の天火明命と同一視されてゐるが、天火明命をお祀りする神社として丹後宮津の籠神社、攝津茨木の新屋坐天照御魂神社がある。丹波~三嶋(茨木・高槻・島本町)~交野~當社と連續性を考へてみたい。丹波に發祥した勢力が徐々に溪谷を降り、三嶋へ到達。嶋下(茨木)・嶋上(高槻)・嶋本(島本町)の三嶋には名神高速建設や宅地造成で非常に多くが失はれたが大凡五百基ほど古墳があつたさうで三嶋古墳群と呼ばれてゐる。嶋下の新屋坐天照御魂神社の境內には「日降りの丘」と呼ばれる天孫降臨地がある。三嶋から淀川を渡り天野川の險しい溪谷の中を進むと磐船神社がある。丹波から勢力を擴大する道すがらに天孫降臨の傳承が出來たとしたら、天火明命と天孫(邇邇藝命)とは別系統との傳承が正しいとする假定が必要だが時の斷片がうまくはまりさうだ。但し、この假說は接合面がぐらぐらで、まだまだ檢證しなければならない。

祭神:高皇產靈神 譽田別命、神皇產靈神、登美饒速日命、天兒屋命
御朱印:たぶんない
御朱印帳:ない
駐車場:あるらしい。言ひ譯かもしれないが判りづらい

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▼本文に出て來る案內板
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▼木嶋かあ。偶然の一致かそれとも必然か。
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▼本殿はあれど、裏山の神威をひしひしと感ずる。
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橘右近大夫

Author:橘右近大夫
畿內の寺社佛閣を中心に、おでかけトロ&クロとお參りしたときの旅日記を綴つてゐます。

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あくまでも個人的な日記であり、專門的・學術的な正確さを擔保するものではありません。

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