2017-06-11

六月と言へば田植ゑ。最近は五月の氣溫が高いので六月よりも前に田植ゑをしてゐるところもあるのかもしれませんが、まあ、それはさておき、田植ゑとともに鳴きだすのは蛙。蛙と言へば、あの鳴き聲。あの鳴き聲は僕にはうるさいと感じられますが、和歌や俳句で蛙はよく詠まれてゐるんですよね。

かはづなくゐでの山吹散りにけり 花のさかりにあはましものを(古今125春歌下:詠み人智らず)
色も香もなつかしきかな蛙鳴く 井手のわたりの山吹の花(小町集)

上の二首と同じく古來より蛙(かはづ)は山吹と一緖に詠まれることがある。山吹はバラ科の植物で大凡四月終りから五月初めにかけて咲いてゐる。舊曆にすると三月頃になるので舊曆上も春に咲く花である。となると、田植ゑの頃になると蛙の存在を感じる橘右の感性は季節感がずれてゐると言ふことになる。あれ?
山吹が自生してゐる場所はほんたうに少なくなつてゐると言へる。關東だと越生の山吹の里のほかは奧武藏の山々で見かける程度だ。昔の人は、田植ゐのあとに蛙がやつて來るよりも前、山吹が咲き始めた頃に鳴き始める蛙の聲を聞いて歌を詠んだのだらう。
なほ、餘談ですが、上の二首に「井手(ゐで)」と言ふところが出て來る。この井手は京都府綴喜郡井手町の邊りで玉川と言ふ川沿ひのことを指す。橘諸兄がこの地に別莊を構へて山吹の花を植ゑた爲に山吹の名所となつたと傳はる。山吹が有名になつた諸兄の別莊はその後橘氏の氏寺となり、小野小町が晚年に寄住してゐたとも言はれてゐる。

▼あー、面倒臭せぇ~。
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▼はつ、すみません。オレっちの博學コーみゃ~♪は續きますみャ。
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▼おつ!
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▼おたまじやくしがゐるな。
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2017-06-10

今日は何の日?

「漏尅を新しき臺に置く。始めて候時を打つ。鐘鼓を動す。始めて漏剋を用ゐる。此の漏剋は、天皇の皇太子に爲す時に始めて親ら製造りたまふ所なりと、云々。」

これは天智天皇十年四月二五日の出來事で日本書紀が記錄してゐる。我が國で初めて漏刻を用ゐて時を知らせた出來事である。四月二五日だけど舊曆なので、新曆に直すと六月十日になる。さう、今日だ。さう言ふ理由で本日六月十日は時の記念日に制定されてゐる。但し、漏刻で時間を計つたと言ふことは、これより凡そ十年前で、上の引用にもあるやうに「天皇の皇太子に爲す時に」、つまり齊明天皇の御世に皇太子の天智天皇が漏刻を作つたことが我が國の時計の始まりである。

時間に縛れるのは厭だけど、時計がないと生活が出來なくなつてゐる。天智天皇の偉大な事蹟に感謝をしながら今日一日を過ごしました。

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2017-06-09

ひじき

「ひじき」はみなさんご存じですよね。海藻で干してあり、水でもどして醬油などで煮たりする。どこのご家庭の食卓に竝ぶごくありふれた料理。このひじき、平安の頃にはとても高價なものだつたさうだ。

まづは伊勢物語の第三段を引用します。

「むかし、男ありけり。懸想しける女のもとに、ひじき藻といふものをやるとて、

思ひあらばむぐらの宿に寢もしなむ ひじきものには袖をしつゝも

二條の后の、まだ帝にも仕うまつりたまはで、たゞ人にておはしましける時のことなり。」

昔男が二條の后にひじき藻を贈つたと言ふお話です。今の感覺からすると女性にひじきを贈ると言ふのはほとんど無いでせう。貰つた女性は「えゝ?ひじき?で?」と確實に戶惑ふ。結婚して僕に手料理を每日蝕べさせてくれと言ふ意味でなら解らなくもないが、その場合、べつにひじきである必要はありませんよね。でも平安の頃は、ひじきはとても高級なものだつたやうだ。今の感覺だとなんでせうかね。天然うなぎ?松茸?神戶牛?こんな感じでせうか。
實は、現在、流通してゐるひじきは支那、韓國からの輸入が90%以上を占めてゐるさうです。平安の頃から高價なひじきは、現在沖繩縣では準絕滅危惧種になつてしまつた。濫獲と言ふよりは海洋環境の汚染が原因なのかな。でも、汚染が原因なら支那や朝鮮半島のはうも酷いものだと聞いてゐるから、海洋環境の汚染が理由ではないと思はれる。調べると支那韓國のひじきは養殖で日本は天然物のやうだ。値段の差で國產が驅逐されたと言ふことなのかな。
さうなんだ、ひじきはほゞ支那、韓國產なんだ。これからは口にするのは止めようと思ふ。ひじきは砒素が多く含まれてゐるらしいが、それ以前に國產ならまだしも韓國產は衞生面が不安でとても口にする氣にならない。日本向けだと唾を入れられてゐる可能性も否めない。伊勢物語の情景にはあこがれるが健康を害しては意味がない。

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2017-06-08

夏なのに

最近、夏にも拘はらず楓が紅葉してゐる木を見かけることはありません?
僕は晚秋の紅葉も良いですが、それよりも夏の靑もみぢのはうが綺麗だと思ふ派ですので、夏に紅葉してゐると殘念な氣がしてならない。と言ふのも夏に楓が紅葉してゐると伊勢物語の二十段のやりとりが霞んでしまふ。

「むかし、男、大和にある女を見て、よばひてあひにけり。さてほどへて、宮仕へする人なりければ、かへり來る道に、三月ばかりに、かへでのもみぢのいとおもしろきを折りて、女のもとに、道よりいひやる。

君がため手折れる枝は春ながら かくこそ秋のもみぢしにけれ

とてやりたりければ、返りごとは京に來着きてなむもて來たりける。

いつのまにうつろふ色のつきぬらむ 君が里には春なかるらし」

「君の爲に折つた(楓の)枝は春なのに、かやうに秋のやうに紅葉しているよ(僕の心は君への想ひで赤く染まつてゐるのだ)」と言う男の歌に對して、女性の歌は「いつまに心變はりをされたのでせうか、貴方の住むところは春がないのかしら(秋ばかりで私に飽きたのかしら)」といふ返しである。男は春に色づく筈がないのに君への思ひが葉を染めたんだよとアピールしたのだがそれが徒となつたと言ふ話である。このやうな氣の利いた返しも夏に紅葉する事が常態化すれば秋と飽きるが掛からず面白みが缺ける。

然し良く考へると、最近ほんたうに暑いですよね。冬が終り花が咲きだしたらあつと言ふ間に氣溫が上がり、近年では六月で三十度くらゐになる日もある。また、昔はお盆が過ぎれば朝晚と涼しかつたものだが、十月くらゐまで暑い。で、暑さが和らぐとすぐ氣溫が一桁臺に達する日もでてくる。もう冬だ、秋はどこへ行つたのかと言ひたくなる。楓は强い日差しを浴びつゞけると燒けて赤くなるさうなので、夏のもみぢは溫暖化も一因なのかもしれない。
便利な生活は手放したくが、やはり四季を感じながら生きてゆきたい。どうしたものかな・・・。
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2017-06-07

在原業平と小野小町

古今和歌集の卷十三(戀歌三)に二首の歌が竝んで載つてゐる。

秋の野にさゝわけし朝の袖よりも あはで寢る夜ぞひちまさりける(歌番623:在原業平)
みるめなきわが身をうらとしらねばや 離れなで海人の足たゆく來る(歌番624:小野小町)

歌の意味ですが、業平のはうは「秋の野に生えてゐる笹を分けて步いた朝(たぶん、他の女性と一夜を過ごして歸る途中と言ふこと)の(露で濡れた)袖よりも、(あなたと)逢へなくて(寂しく歸つて獨り)寢る夜の(袖の)はうが多く濡れた」と言ふ感じで、小町のはうは「海松目が生えない浦のやうな(氣分も晴れない)我が身なのに、(それを)知らずに絕えることなくやつてくる海人(あなた)の足のなんと重いことでせう。」と言ふ感じで、小町が興味の無い男に言ひ寄られて鬱陶しく思つてゐる感のある歌です。
業平は、天長二年(八二五年)に產れ、元慶四年(八八〇年)に歿した阿保親王の第五子と詳細が解る人ですが、小野小町は正體不明。 安倍淸行と言ふ人物が、この二首と趣を同じくする贈答歌が古今集に載つてゐるので、安倍淸行と年代が近いと推定される。安倍淸行は天長二年產れで昌泰三年(九〇〇年)歿なので業平と同い年。となると平安初期の名うての色男の業平と絕世の美女の小町との戀愛はあつたのだらうか。と、夢は膨らみますが、どうやら古今集の撰者がたゞこの二首を竝べただけで、二人には關係があつた譯ではなささうである。貫之の機轉かな。たゞ、やはり色男と美女の歌がまるで贈答歌のやうに竝んでゐるので人目を惹いたのであらう。伊勢物語第二五段にこのやうな話が載つてゐる。

「むかし、男ありけり。あはじともいはざりける女の、さすがなりけるがもとに、いひやりける。

秋の野にさゝわけし朝の袖よりもあはで寢る夜ぞひちまさりける

色好みなる女、返し、

みるめなきわが身をうらとしらねばや離れなで海人の足たゆく來る」

▼お出掛けがないから暇みャ。
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プロフィール

橘右近大夫

Author:橘右近大夫
畿內の寺社佛閣を中心に、おでかけトロ&クロとお參りしたときの旅日記を綴つてゐます。

旅日記の外に、日頃思ふことなどを書くことがあります。
あくまでも個人的な日記であり、專門的・學術的な正確さを擔保するものではありません。

漢字は正字(康熙字典體)にて書かうとしてをります。どのやうな環境でも讀めるやうに氣を附けてをりますが、環境により漢字が表示されない場合があります。
假名遣ひについて、原文を引用する以外は歷史的假名遣ひで書きます。

※ご意見、ご指摘は建設的、友好的なものに限り受け付けます。建設的友好的なコメントは更新の勵みになりますので、よろしくお願ひします。
但し、間違ひを指摘し、批難するだけのコメントは承認致しませんので、ご諒承ください。しつこいと投稿禁止や閲覧禁止をする場合があります。

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